看護研究では分析の段階で数多くの文献を読み込む必要があります。その際にポイントとなるのが「クリティーク(批評)」です。これは「批判的な観点から資料を精査すること」と定義されます。つまり、文献に書かれている内容は本当に正しいのか、エビデンスは十分にあるのか、資料全体に考え方の統一性や一貫性は見られるかといった点をチェックしながら資料を読んでいくわけです。

クリティークに役立つ具体的なポイントとしては「調査が十分に行われているか」という点が挙げられます。調査の対象となったのは30代と40代の人だけなのに、全年齢に当てはまるかのような結論を導いているのであれば、論拠となるエビデンスは非常に乏しく、参考にすべき文献とは言えないという結論に至るでしょう。また、調査数は十分にあるものの、そこから導かれている結論との関連性が低く、「結論ありき」で書かれた可能性が高いという文献もあるので注意が必要です。

看護研究用の文献を検討する際にクリティークを行う大きなメリットは「自分が行っている研究の信頼性が高まる」という点です。この段階をパスして選ばれた資料が自分が発表する研究の基盤となります。ベースとなる資料の正確性や信頼性が低ければ、それに基づいて行った研究の結果も同じ評価となってしまうでしょう。

ですから、どれほど興味深い内容であっても、すべてを鵜呑みにしてしまうのは非常にリスクが高いということを覚えておきましょう。むしろ、厳しすぎると思えるほどの視点を持って文献や論文の内容を精査することが大切です。